なかはら歯科医院

コミュニケーションと予防であなたのお口を守ります。

ご予約・お問い合わせ: 0952-53-1849
〒842-0122 佐賀県神埼市城原1256-1
ダイレックス日の隈店2F

院長・スタッフ紹介

幼少の頃

私の生い立ち「序章」とでも銘打ったほうがよさそうですが……。

昭和44年12月、みかんの収穫・出荷が最も忙しい時期に私は生まれました。私が産まれた当時、我が家はいわゆる兼業農家。父はサラリーマン、祖父母はみかん農家でした。父は銀行員で、仕事が休みの日曜日にはみかん農家の仕事を手伝っていました。

剪定(枝が込み入ると実のつき方が悪くなるので適度に枝を落とします)、消毒(病気の予防や害虫駆除のため)、施肥(おいしいみかんを作るため)、摘果(実が付き過ぎると味が落ちるので、落として実の数を調整します)、除草、収穫。みかん栽培は一年サイクルでこの作業を繰り返します。

忙しい時期には、日中、家に大人がいなくなるので、幼い私はみかん山に一緒に連れ出されていたそうです。そんな私の遊び相手は、なんと「ムシ」だったらしいです……。ミミズやら、バッタやら、テントウムシ、ダンゴムシ、アリ、自分が座ったゴザの周りを歩き回っているムシを相手におとなしく遊んでいたらしいのです。「おるかおらんか分からん位おとなしく遊んでいて、とにかく手はかからんやったよ。」とよく聞かされました。

そうしてスクスクと育ち(小さい頃から体格は人並み以上でした)、物心がついた頃には、みかん農家の手伝いをしていました(小遣い欲しさです)。一日手伝うと100円という感じで駄菓子屋で使うための資金を稼ぎ出していました(笑)。特に収穫時期の忙しい時は、とにかく人手が必要で、子供の私でも微力ながら役に立っていたみたいです。

しかし、お手伝い自体は決して楽しいことではありません。パッチン、パッチンと鋏でみかんを収穫しながら、採っても採っても無くならない……いつまで続くんだろうと子供心にうんざりしていたことを覚えています。鼻先に「小遣い」というニンジンをぶらさげられなければ、自ら進んで手伝いなんかしません。

仕事をさせられているからなんですね。自らの意思で目標を持って臨むのとは大違いです。

もし、私が小学生の時に「誰よりもおいしいみかんを作ってみたい」と思って手伝いをしていたら……、今やみかん生産の権威になっていたかも知れません。そう思わなかったのが私の凡人たる所以だと思われますが(笑)。私のおおらかな性格はこの頃形成されたものと思われます。

ただ、幼少の時期につらい仕事を経験出来たことは、今の自分の忍耐力に大きな影響を与えていると思います。地道な作業を黙々と続けることの大変さ、大切さ、当時は分かるはずもありませんが、今の私の仕事にも通じるところが多々あり、役に立っていることは間違いありません。健診で同じ事を何度も伝えなければならない状況はまさに地道な作業です。

アレから30数年、歯科医として「当院に来た患者さんには、食べたいものをおいしく食べていただきたい。」との思いを胸に日々の診療に励んでいます。誰かにやらされているわけではなく、自らの意思で臨んでいます。仕事とは、ぶら下がったニンジンを手に入れることだけではない……。そして、人の役に立つということは、専門分野で自分を高めることではないかと考えるに到りました。もっともっと、更なる自己研鑽の必要性を感じています。