なかはら歯科医院

コミュニケーションと予防であなたのお口を守ります。

ご予約・お問い合わせ: 0952-53-1849
〒842-0122 佐賀県神埼市城原1256-1
ダイレックス日の隈店2F

診療案内

歯周病菌

口の中には、ナント約500種類もの細菌が住んでいます。ただし、全ての細菌が人に害を及ぼすというわけではありません。歯周病を持っていない人でも、探せば細菌が見つかるのです。

では、人に害を及ぼす数種類の歯周病原菌について。この歯周病原菌たちは、口の中で何をしているのでしょう?実は、ひたすら細胞分裂を繰り返して同種の細菌数を増やし、優勢を保とうとしているのです。歯周病原菌が活動するためにはエネルギーが必要です。何からエネルギーを得ているのでしょう?なんと、主には唾液から必要なものを取り出して細胞分裂するためのエネルギーに変えているのです

そして、人が食事をするとそれに含まれる砂糖などを材料にして歯周病原菌を歯に付着するためのネバネバした物質を作ってこびりつきます。更に、ハグキに炎症を引き起こす物質も作ります。ハグキに炎症が起こると出血しやすくなります。出血した血液の中には赤血球があります。歯周病原菌はこの赤血球からも必要な栄養素を取り出すことが出来るのです。そうしてさらに増殖し、炎症を継続させる悪循環を作り出します

簡単に言えば、口から食べ物を食べておなかで消化してエネルギーに変えて活動し、不必要なものを排泄する。(我々人間と同じ事をしているのです。)その排泄物が歯周病という炎症を引き起こしていると思っていただくと分かりやすいかと思います。

歯周病菌がいるのに、歯周病になる人とならない人がいます、なぜでしょう?

まず、歯周病菌の活動に対して抵抗力を持っている人とそうでない人。これは遺伝的な要素で、変えるのは難しいですね。

次に歯周病菌が沢山いるか、少ないか。沢山の歯周病菌が一度に大量の排泄物を放出するとハグキがそれをはじき返すことができずに炎症が起きてしまいます。一方、歯周病菌が少ないと、放出される排泄物の量も少ないのでハグキの表面ではじき返すことができ炎症は起こらないのです。

つまり歯周病になる人の口の中には歯周病菌が沢山いて活発に活動しているということなのです。どの位沢山いるかは、治療説明時の顕微鏡の画像を見ていただくと分かります。(ほとんどの方がショックを受けられますが……

ということは、歯周病菌の放出する排泄物を少なくすれば炎症(歯周病)が起こる可能性も低くなるということです。そういうわけで、歯周病の治療とは、いかに歯周病菌を少なくするか、いわば「増殖し続ける細菌との戦い」なのです

歯周病の検査とブラッシング指導

歯周病の方にブラッシング指導をする際に我々スタッフに求められる能力で大事なのは?「ハグキが健康な状態か、病的な状態かを見極める能力。」です。

歯垢(細菌のカタマリ)が残っていてもハグキに炎症が起きない場合もあります。これは歯垢の中の細菌の種類や、患者様が持つ局所の抵抗力の違いなどが関係していると考えられます。こういう場所はあまり神経質に手入れをしなくてもよいところです。

一方、歯垢が残っていてなおかつハグキに炎症が起こっている場所。ここを患者様自身に把握してもらい、日々のブラッシングで注意していただく。と書くのは簡単ですが、ハグキが健康かどうかを見極めるのは非常に難しいのです。パッと診てすぐ分かるものではなく、ハグキをくまなく検査する必要があります。また、継続的にハグキの状態を記録して変化が無いかどうかも比較検討しないといけません。そうして出た結果に基づき患者様個々に合ったブラッシング指導を行うわけです。

ブラッシング指導が上手くいくと、それだけで炎症を起こしていたハグキが治癒します。(もちろん歯周病が進行している場合それだけでは治癒しませんが、炎症の度合いは確実に小さくなります。)つまりブラッシング指導は歯周病の治療をしていることに他ならないのです

プラークコントロール(プロフェッショナルケアとセルフケア)

歯周病治療時に行うブラッシング指導、我々はナゼそんなに力を入れるのか?歯周病の治療というと具体的に何が思い浮かびますか?"プラークコントロール"、この言葉は広く浸透していると思います。歯垢(プラーク)をコントロール(少なく保つ)すること。これは歯周病治療の基本です。

まず思い浮かぶのは歯科医院での歯垢・歯石の除去ですね(スケーリング・ルートプレーニング)。重症の場合は歯周外科手術(ハグキをはがして歯垢・歯石を除去)をする場合もあります。

歯周病の治療はこの歯科医院でのスケーリング・ルートプレーニングがメインと思われがちですが、ご家庭での「ハミガキ」、これがホントに重要なのです。ブラッシング指導というと歯科治療の「オマケ」程に思っていませんか?この指導をちゃんと実践するかどうかで歯周病治療の成功が左右されるといっても過言ではありません

歯周病にかかっているヒトの口の中にいる細菌数、数百億匹以上(数兆に及ぶことも)。一匹の細菌が細胞分裂するのにかかる時間は約5時間。一日に4~5回細胞分裂します。数百億匹がそれぞれ4~5回……。ブラッシングをしなければ、その数は天文学的な数字になります。その細菌郡が一斉にハグキの炎症の原因となる毒素を排泄します。普段のハミガキがいかに重要かお分かりでしょう。当然、我々のブラッシング指導にも熱が入るわけです。

歯科医院で行なうプロフェッショナルケアと患者様が普段行なうセルフケア歯周病治療にはどちらも欠かせないのです

ハグキの手術

歯周病を治療する際に行うブラッシング指導、歯周ポケット内の歯石及び歯垢の除去(スケーリング・ルーとプレーニング)。これらの処置で改善しない重度の歯周病(歯周炎)に対して行なう手術のことを“歯周外科手術”と言います

歯周外科手術では清掃具が届かない場所(炎症の存在する深い歯周ポケット)に対して、ハグキを切開してめくり、歯根を露出させて歯垢や歯石を除去します。また、炎症を起こしている歯肉を切除したり、部分的に溶けて不整な形をした骨を削って清掃しやすい歯肉を作ることも同時に行ないます(状況に応じて)。

炎症を抑えるためには、原因を取り除く必要があります。この手術を行なうことで、炎症の原因を取り除くことが出来るのですが、術後に歯肉退縮(ハグキが下がってしまう)が起こります。この歯肉退縮、歯根が長く見えてしまう、歯と歯の隙間が広くなる、など前歯部では見た目の障害を引き起こすこともあります。また、過度の歯根露出は知覚過敏の原因になる場合があります。

このような術後のデメリットを充分検討したうえで、術後のハグキの変化が最小限度になるように“歯周外科手術”を行なう必要があります。 外から見える場所の治療は、単に病気を治療する観点だけでなく見た目の悪化を防ぐ観点からもその処置方針を決める必要があります。 重度歯周病の患者様でも、抜歯は出来るだけ避けたいというのが本心だと思います。私たちもできる限り歯を保存する考えで診療に臨みますが、重度歯周病に罹患した歯には抜かざるを得ない状況というものが少なからずあります。 早め、早めの歯科受診で、その状況を回避しましょう

妊婦さんと歯周病

妊娠すると女性の体は、赤ちゃんを産み育てるための準備を始めます。胎盤からたくさんの女性ホルモンが作り出され血流に乗って体中に運ばれ、体に変化を及ぼすのです。この、女性ホルモンは歯とハグキの境目から染み出します。

実は歯周病原菌はこの女性ホルモンが大好きなのです。歯周病原菌はこの女性ホルモンを餌にして活発に活動し増殖、排泄をどんどん繰り返します。その結果ハグキに炎症が起こってしまいます。(妊娠性歯肉炎といいます)

つわりのひどい方は歯ブラシを口に入れることすら出来なくなり、さらに状況が悪化してしまいます。炎症が起こるとハグキから出血しやすくなります。出血したところから今度は細菌が排泄した毒素が血管に入り込み、血流に乗って胎盤にダメージを与えてしまいます。このダメージが、早産や低体重児出産を引き起こしてしまうのではないかと言われているのです

最近の研究では切迫早産と診断された妊婦さんの30%に口の中と羊水の中の両方に同じ歯周病原菌が認められたとの報告もされています。 とにかく、妊婦さんにとって歯周病は早急に改善しておくべき病気なのです